高品質音声通信サービスにおける品質要因と心理要因の相互関係

摘要

音声帯域の広帯域化やステレオ化により高品質化された通信サービスの品質評価では，従来のオピニオン評価のように単に「品質の良し悪し」を一次元のみで評価するだけでなく，サービスの品質上の特長を的確に表現する観点から，より高次な心理（感性）要因を用いて多次元的に評価することが重要である．筆者らはこれまで，心理要因を用いた高品質音声通信サービスに対応したオピニオンモデルのフレームワークを提案し，高品質音声通信サービスの心理要因抽出を行い，抽出された心理要因を用いて総合品質を記述することが可能であることを示した．本稿では，提案しているオピニオンモデルについて，サービスの物理特徴量（品質要因）と心理要因の関係を分析した結果を報告する．分析の結果，物理特徴量から多様な心理的側面を考慮して総合通信品質を推定することが可能であることを示した．