鑑別の森［10子宮内膜の異型ポリープ状腺筋腫(APAM)と子宮内膜異型増殖症(AEH):Answer 1

摘要

Q:APAMかAEHかの鑑別を生検で行う場面が増えてきたように思います.両者ともに上皮成分は類似しており,APAMでも間質成分の量が少ない例があります.Caldesmonやdesminの染色で間質が陰性ならAPAM,陽性ならAEHとクリアカツトに診断してよいものなのでしょうか?また,HEでどの程度鑑別できますか? 異型ポリープ状腺筋腫atypical polypoid adeno-myoma (APAM)は1981年,Mazurにより提唱された疾患名です.異型を伴う内膜腺管が線維筋性間質を伴いながら増殖し,ポリープ状の病変を形成します.線維筋性間質がよく発達してその中に異型腺管が分布すると,一見,腺癌の筋層浸潤のようにみえます.しかしながら,APAMの多くは良性の経過をとることから保存的治療が基本であり,筋層浸潤を伴う腺癌の治療(子宮全摘+両側付属器切除)とは全く異なります.したがって,APAMという疾患単位の診断学的意義は何よりも,生検での過剰診断overdiagnosis を回避することにあると考えられます.