二律背反要素分析

摘要

対策を実行に移して、ある項目について何らかの効果が現れると、それと同時にトレードオフ関係にある別の項目に逆の効果が現れることがある。 たとえば、小売店での販売機会損失への対策があげられる。 品切れがしばしば起こるために、せっかく来店した客に商品を売ることができない場合がある。その対策として、品数を増やして客に確実に商品を提供できるようにした。 これは売上の向上に直接つながるため、一見利益が上がっているように見えるが、在庫量が増えたために逆に利益が下がってしまうというケースも多い。 この場合、品数の増大と在庫量が二律背反関係にあるといえる。 二律背反関係にある要素を事前に察知していなかったために、戦略を実行することで業績を改善するはずが、思いがけない不利益をこうむってしまうという事態に陥りやすい。 このように、分析を進める場合には、あらかじめ二律背反関係にある要素の存在を考慮し、両者のバランスが取れた関係を把握しておくことが必要である。 目標管理制度(MBO)ではこのことを「目標設定と反対目標の設定」と表現している。