移動情報を加味した配信ビットレート選択手法の提案

摘要

近年，モバイル端末における映像配信サービスの利用が増加している．しかし，モバイルネットワークはユーザの移動などの影響でスループットが変動しやすいため，映像視聴時に再生停止が発生することが多く，視聴品質が劣化しやすいという課題がある．そのような課題に対して，複数の品質の映像を用意して視聴中にネットワークの状況に合わせて品質を変更するAdaptive Bitrate Streaming（ABR）の検討が進んでいる．しかし，既存のABRは過去のスループット情報を利用して映像の品質を決定していたため，急激なネットワーク状況の変化には対応できなかった．本発表では，様々な環境でABR視聴時のスループットや再生停止回数を測定し，再生停止の発生にユーザの移動による利用基地局の変化が影響していることを明らかにした．また，利用基地局の変化に応じた配信ビットレート選択手法を提案し，移動先基地局のスループットが推定できる場合に既存制御と比較して，再生停止発生数を50%削減できることをシミュレーション評価により確認した．