IT機器の支援で利用者に笑顏を第7回ETA ? AALの普及を目指して

摘要

放送大学の福祉心理学の導入で「天使と話す子」と言う絵本の紹介があった。姉のエスター?ワトスンが自閉症の妹クリスタの特徴などを、独特な絵とシンプルな言葉で紹介している。この絵本を読んでいると、自閉症の人たちは、まったく外界と隔絶されているわけではないことがわかる。例えば、「クリスタはわたしのいうこと、ちゃんときこえているの。でも、じぶんのこころのなかで、答えるだけで、声にださないの」とある。それで筆者は、知的障がい者施設での実習の時の子供たちのことを思い出した。様々な子供たちの中に、とてもイラストを描くのが上手な自閉症の女子中学生がいた。筆者が「今度は、こういうの描いて」とか言っても知らんぶりで、黙々と自分の書きたいものを描き続けている。しかし、そんな時でも、苦手な子が近づくと突然逃げて行く。また、施設内の映画を見るために付添って隣を歩いていると、何回も腕をつねられた。欲求不満な子がすることがあるが、相手の存在を認めている行為だと思った。筆者は、この絵本と経験を通して、自閉症の人は、どこかに交信できるゲートが開いている事を信じるようになった。