空間位置情報を利用したウェアラブル音提示手法について

摘要

近年，情報機器の高性能化·軽量縮小化に伴い，ウェアラブルコンピュータもその実現性が高まり，実際の使用方法に関する研究も広がってきている．その中でも聴覚情報は，ヘッドホンなどのデバイスが日常的に使用されている一方で，ウェアラブルコンビュータでの情報提示やながらインタフェースとしても検討されている．聴覚情報は，人が空間的な広がりを感じる重要なファクタであり，目標の方向を知るものとして一昔の定位による情報識別の研究もなされている．複数方位から提示されるの情報の識別や，頭部を動かした上での定位についてもインタフェースとしての可能性が言及されている．しかし，現状では多くの場合，利用者自身の位置は固定で，アウトドアなど利用者の移動を想定した場合には十分な検討がなされていない．実世界に3次元的に広がる青空間が実現できれば，実世界に関する情報提示のみでなく，様々なコンテンツの実現が可能になる．そこでは，環境音などの位置に応じた音提示に加え，人や動物·乗り物といった移動物の音を再現することでより臨場感のある空間が生成できる．本研究では、このようなコンテンツ作成のための基礎技術として，利用者の位置情報と頭部の動きをもとに音提示を行うシステムを構築し，実験を踏まえて屋外空間におけるコンテンツへの応用可能性·適性について検討する．具体的には，音源位置捜索実験を行い，その結果評価と原因の考察を行う．