集合住宅における設備機器の騒音対策

摘要

新型コロナウィルス感染症（Covid-19）の感染拡太に伴い，人々の暮らし方が急激に変化している。この原稿を執筆している2021年3月上旬，首都圏の緊急事態宣言が延長されることになった。読者の中にも，在宅勤務という新たな生活スタイルを継続している方も多くいることであろう。自らの在宅の時間が長くなるとともに，近隣住民の生活パターンも変化することで，集合住宅に住む人にとっては，身の周りのいろいろな騷音に，あらためて気づかされている場合も少なくないはずだ。集合住宅が，いかに「密」か，ということを再認識させられているかもしれない。集合住宅において，外部から来る音，建物内部で発生する音などが数多くあるが，それらを列挙した場合,少なく見積もっても半分は設備機器に由来するものであるといえよう。時代の変化とともに，タワーマンションに代表されるように集合住宅の規模や機能も多様化してきている。ここでは，集合住宅において，設置され，音源となりやすい設備機器にはどのようなものがあるか，一般的な騒音対策の考え方とその課題について概説する。