Mobile application による生活習慣病管理?

摘要

がん,心血管疾患,慢性疼痛，糖尿病や呼吸器 疾患といった慢性疾患の有病率は,人口の高齢 化に伴い,世界的にも増加傾向にある.WHOに よると，慢性疾患は主な死亡原因であり，全体 の死因の6割以上を占めており,慢性疾患は世 界的にも大きな負担となっている1).たとえばわ が国の「令和元年国民健康?栄養調査報告」に よると,肥満者（BMI>=25 kg/m2）の割合は男性 33.0%,女性22.3%,糖尿病が強く疑われる者の 割合は男性19.7%,女性10.8%,高血圧につい ては男性29.9%,女性24.9%となっており,わが 国における慢性疾患の有病率も高い2）.人口の 高齢化とともにこれらの慢性疾患の有病率に減 少傾向は認められておらず，65%以上の患者が 3つ以上の慢性疾患を抱えていることが示されて いる3）.また,慢性疾患はわが国における主な死 亡原因でもあり,2021年の死亡数を死因順位別 にみると，第1位は悪性新生物〈腫瘍〉で38万 1,497人〔死亡率（人口 10万対）は310.7],第2位 は心疾患（高血圧性を除く）で21万4,623Л（同 174.8）（第3位は老衰で!5万2,024人（同123.8）, 第4位は脳血管疾患で10万4,588人（同85.2）と なっており，わが国でも8割を超える1)4）.さらに 医療費の面でも，医科診療医療費を主傷病にょ る傷病分類別にみると，「循環器系の疾患」6兆 1,369億円（構成割合19.2%）が最も多く,次いで 「新生物〈腫瘍〉」4兆7,459億円（同14.9%）,「筋 骨格系および結合組織の疾患」2兆5,839億円（同 8.1%）,「損傷,中毒およびその他の外因の影響」 2兆4,897億円（同7.8%）,「腎尿路生殖器系の疾 患」2兆3,043億円（同7.2%）となっており,慢性 疾患の治療にかかる医療費は高い割合を占めて いる5)したがって,慢性疾患の管理は本邦でも 重要な課題であるが，一方で,こうした慢性疾患 の管理は複雑であり，容易に解決が見込めず，多 くの国で対策が検討されている6)7). EU諸国で も15歳以上の40%が慢性疾患を患っており6)， 日本に限らずアジア諸国では慢性疾患が死亡に 与える影響は甚大である7),喫煙，飲酒,運動不 足および不健康な食事といった生活習慣に関連 した修正可能な危険因子（modifiable risk factor） は慢性疾患の主体たる原因とされている8).