高齢者腹膜透析の現況

摘要

本邦において少子高齢化が進み,10～20年後 はさらに加速することが推定されている.透析 含むCKD領域においても同様である.血液透析 (HD)患者が高齢化しているのと同様に，腹膜透 析(PD)患者も高齢化している.高齢PD患者は 合併症の割合が増加,介護制度の需要増加，医 療?介護保険のインフラが整備されていないなど さまざまな問題が発生する.地域包括システム が推進されている一方,現場ではPD患者を取り 巻く環境が混沌としている現状がある.高齢者 の身体?精神機能において有利な面が大きいPD をさらに普及するには医療者側の高齢PD患者に 対しての理解および社会?保険環境の変化が必 要ではないかと考える.本稿では高齢透析患者 の現況，医療?介護保険の問題点，認知症との 関連，アシストPD,ラストPDについて概説す る.