リスク層別化乳がん検診の展望

摘要

乳がん検診としてのマンモグラフィは乳がん死 亡を減少させることが示されている.本邦の乳 がん検診は,2004年から40歳以上の女性で2年 に1回のマンモグラフィ検診が標準であると厚生 労働省から各自治体に通達されており,画一的な 乳がん検診が行われている.一方で,40歳未満 の女性であっても,遺伝性乳がん卵巣がんなど乳 がん罹患に関してリスクの高い集団もいることも わかっている.限られた医療資源の中で,最適化 された乳がん検診を行っていくためには,リスク に応じた乳がん検診が求められている.本稿では,乳がん検診の現状とその課題を提 示し,その解決策の1つとしてのリスク層別化乳 がん検診に関して,リスク層別化の方法と,現在 進行中のランダム化比較試験を紹介して,本邦で のリスク層別化乳がん検診についての展望につい て示す.