マクロクイズ第162回

摘要

20歳代，女性?月経不順,不正性器出血があり,精査目的の骨盤MRIで左卵巣 腫瘍を指摘された.左子宮付属器切除術検体を示す（A,Bともに固定後，1目盛り =5mm）.左卵巣は，約70×35×30mmと軽度腫大している.表面は平滑であり，割面像では,白色調?透明感のある領域を背景に,黄色調の小結節が不規則に散在 する.前者は主に中心部に位置し(central edema), 浮腫や空洞を伴う.黄色結節は辺縁部に分布する傾向 がある.壊死はみられない.黄色調成分を有する充実性腫瘤を形成する卵巣腫瘍 として第一に挙げられるのは,莢膜細胞腫，顆粒膜細 胞腫といった各種性索間質性腫瘍である.主に若年に 発生する性索間質性腫瘍としては,若年型顆粒膜細胞 腫,Sertoli-Leydig腫瘍,硬化性間質性腫瘍，硬化性 腹膜炎を伴う黄体化莢膜細胞腫などが挙げられる.本 例にみられる，浮腫状間質を背景に散在する黄色調小 結節は偽分葉状構造を想起させ,これらの中では硬化 性間質性腫瘍が最も考えられる.