循環器疾患における臨床検査の役割【抄録】

摘要

我が国は超高齢化社会を迎えて心疾患は増加の一途を迪つており、心疾患は悪性腫瘍に続く第2位の死因 として全体の約15%を占めるまでになつている。ま た、心疾患は直接死因としてだけではなく、脳血栓塞 栓症ゃ腎不全、肝不全などを合併し、生活の質を著し く損ねる原因となる。心疾患を正しく診断して、早期 に適切な治療を行うことが、我が国における健康寿命 増進には不可欠である。心疾患の中で特に増加が著し いのが心不全であり、いずれも近い将来に我が国で総 人口の1%以上である130万人以上が罹患すると予想 されている。一方で、心不全の診断や治療における進 歩も著しい。まず、心筋スペックルトラッキング法や 心臓MRIなどの画像診断の進歩に加え、パッチ型の 長時間ホルター心電図も登場し、鋭敏な心筋症や不整 脈の診断が行われるようになった。治療に関しては、 従来の心不全治療薬に加えARNTやSGLT2阻害薬な どが登場し心不全の予後改善効果が期待されている。