アレルギー性結膜疾患の疫学と環境因子

摘要

近年,アレルギー性結膜疾患(allergic conjunctival diseases : ACD)の患者は増加 し，2017年の調査によると有病率は48.7%である.また,ACDの原因として，花粉やハウス ダスト以外に,さまざまな環境因子が関与することがわかってきた.大気中粒子には,土壌粒 子,黄砂等の越境粒子,自動車からの排気ガス，工場煤煙，揮発性有機化合物(volatile organic compounds：VOC),シックハウス，受動喫煙等が含まれる.環境因子が眼炎症を引き起こす 機序として,①大気中化学物質の花粉破裂作用によるアレルゲンの飛散増加，②粒子による物 理的な結膜刺激作用,③粒子中の微生物,硫酸塩，硝酸塩,金属類によるアレルギー ?炎症の 誘導等が挙げられる.対策としては,環境因子から保護眼鏡により眼を防御し,眼が曝露され た場合には，洗眼と点眼薬による治療が有効である.