アトピー緑内障とステロイド緑内障

摘要

重症アトピー性皮膚炎の眼合併症には，角結膜炎，白内障 網膜剝離，円錐角膜は よく知られているが，緑内障の合併も経験する.アトピー緑内障とステロイド緑内障の厳密な 鑑別は困難なことも多いが，患者の心情に配慮しステロイド忌避症例を作らないことが重要で ある.アトピー緑内障の重症例は働き盛りの青壮年男性が多く，治療コンプライアンスの維持 が治療上重要である.アトピー性皮膚炎の治療が進歩していることを伝え，アトピー性皮膚炎 の専門治療が可能な皮膚科専門医と連携して治療にあたることが重症化防止の観点からも推奨 される.眼圧をモニターしながら，抗緑内障薬の使用と必要に応じて適切な術式での緑内障手 術を施行することで視機能を維持し，かゆみを抑制することと併せてアトピー性皮膚炎患者の 生活の質の維持に貢献していくことが治療の目標である.