糖尿病の血糖コントロール【抄録】

摘要

糖尿病は初期には自覚症状に乏しいが， 慢性に経過 するに伴い細小血管障害や， 大血管障害を発症し患者 のQOLを著しく低下させる。糖尿病治療の目標のー つは慢性合併症を予防することであり， そのためには 初期からの血糖コントロールが必要である。血糖コントロールとは， 高血糖を改善し血糖変動を 抑え血糖値をできるだけ正常な数値に近づけることで ある。また， 最近では高齢者における低血糖の危険性 も報告されている。日常診療では来院時の血糖値， 血 糖自己測定を含めて， スポット血糖値を参考にして いる。最近， 持続血糖モニター(continuous glucose monitoring: CGM)で一日の皮下間質液のグルコース濃度を測定し血糖値の変動を推定することができるよう になった。しかし， 日々の食事の種類?量?時間や運 動量は一定ではなく， 血糖は刻々と変動する。そのた め， 血糖コントロール状況を正確に把握するには， 血 糖値のみではなく， ある程度長期間の血糖コントロー ルの指標が必要であり， HbA1c (hemoglobin A1c)や GA (glycated albumin)が測定されている。HbA1cは臨 床で汎用されているが， 平均血糖値と乖離する場合が あるので注意が必要である。