NX70CHを使用した强膜内固定術

摘要

眼内レンズ(intraocular lens ： IOL)の強膜固定術は, GaborやAgarwalらによって報告されて以来,さまざ まな術者によって改良が施されてきた.現在,強膜固定 術は既存のin the bag挿入用のIOLを鑼子でハプティ クスを把持し,眼外に引き出してからY-fixationに代 表される強膜トンネルに埋め込む方法, もしくは Yamaneらが開発したIOLの八プティクスを焼灼して flangeを作製し强膜内に埋没させる方法の二つが主流 となっている.術式は洗練されたものとなったが,これ までの多くの報告は従来の3ピースタイプのIOLをそ のまま使用したものである.そこで筆者らは，ハプティ クスの先端にU字型の返しを付けフックハプティクス にしたIOLを開発し，2014年にこのIOLを用いた intrascleral IOL fixation technique を初めて報告した. これは通常の白内障症例や囊外固定，そして縫着にも適 していることを前提とし，强膜固定においては鑼子でハ プティクスの把持がしやすく強膜から抜け落ちにく くす るために考案したデザインである.この形状を利用すれ ば,経験の浅い術者でも，安全で確実なIOL强膜固定 術が可能と考えた.今回,筆者はこのNX70CH (参天 製薬,図1)を用いた術式として，鑷子で引き抜き強膜 内トンネルに埋没させる方法と，鑷子で引き抜きフラン ジ固定する方法を説明する.