島根大学医学部附属病院眼科における涙道診療開始後3年間の 経験と実績

摘要

目的:島根大学医学部附属病院眼科では,2019年に涙道外来を開設し,他院より専門化を招いて涙道診療の経験の浅い医師 2名をトレーニングしつつ,安全な涙道診療を実績してきた.この間の経験と涙道手術の実績を報告する.経過と実績:2019 年4月に涙道外来を月1回の頻度で開設した.他院より涙道診療の専門家1名を招聘し,その指導の下で医師2名が診療にあた る体制とした.医師2名は涙道内視鏡操作を涙道内視鏡検査および手術時に症例を経験することで習得した.鼻内視鏡操作はシ ースガイド涙管チューブ挿入術施行時，鼻腔を観察し器具を操作することから始まり，カダバーサージカルトレーニング(CST) にて涙道周辺の解剖の理解を深めたうえで,涙囊鼻腔吻合術を術者として経験した.2019年度涙道外来の実施は12回で涙管 チューブ挿入術55件,涙小管形成手術3件,涙囊鼻腔吻合術1件を施行した.2020年度はCovid-19の影響で，涙道外来の実 施は8回となったが,涙管チューブ挿入術32件,涙小管形成手術3件，涙囊鼻腔吻合術16件，2021年度は8月までの5回実 施で,涙管チューブ挿入術5件,涙小管形成手術3件,涙囊鼻腔吻合術13件を施行した.結論:日常診療のなかで,専門家の 指導,および涙道内視鏡検査,CSTにより涙道周辺の解剖の理解を深め，涙道内視鏡操作,鼻内視鏡操作を身につけることが 可能であった.それらの経験をもとに,安全で確実な涙道診療を実施することができたと考える.