経口肺高血圧治療薬の使い方と注意点

摘要

PAHは,直径500以下の末梢の肺小動脈での狭窄?閉塞による. 肺血管拡張薬は,プロスタサイクリン経路, エンドセリン経路,一酸化窒素経路に大別される. 肺高血圧症は,安静時平均肺動脈圧が25 mmHg 以上と定義されているが,2018年2月末のニース会議で,肺高血圧症の定義を「平均肺動脈圧が20 mmHgより高く,かつ肺血管抵抗3 Wood単位より高いもの」とする提言がなされ,今後の動向が注目されるところである.現在,肺高血圧症は成因別 の5群に分類されているが, 第1群の肺動脈性肺 咼血圧症（pulmonary arterial hypertension ; PAH）は,肺小動脈レベルでの狭窄?閉塞により,肺血管抵抗の上昇,肺動脈圧の上昇,そして右心不全を来す病態である. PAHは進行性の肺血管抵抗上昇および肺動脈圧上昇が特徴であり,そのメカニズムが徐々に解明されてきているところである.選択的肺血管拡張薬としてこれまで大きく3系統の肺血管 拡張薬が開発され（表1,図1）, 治療オプションが増えたが,PAH患者には日常生活に対する適切なアドバイスが必要であり（表2）,また家族や周囲のサポートが重要となる. 右心機能がPAH患者の予後を決定するため,塩分制限を含む右心不全の予防および治療も重要である.