Overview (序)

摘要

高齢者のロコモティブシンドローム（ロコモ）やフレイルは，転倒.骨折リスクや要介護リスクの増大に加えてQOL低下や生命予後にも影響を及ぼすため，早期からの啓発や予防対策が重要 である.ロコモゃフレイルの対策に向けたアプローチの一つとして，定期的な栄養評価とそれに もとづく食事指導や栄養療法などがあげられる.また，低栄養や特定の栄養素の摂取不足に伴い， フレイルゃ骨折リスクなどはさらに増加することが想定され，多職種協働による早期からの包括 的な予防対策が必要と考えられる.さらにまた，骨粗鬆症の診療に際しても，食事指導を含めた 生活指導や栄養管理がより身近で実際的なテーマになってきており，骨粗鬆症リェゾンサービス (OLS)を含めた多職種協働やその役割もますます重要となっている.今年度からは，全国の自治 体広域連合が実施する後期高齢者に対する健診においても，フレイルを念頭に置いた新たな高齢 者向けの健診質問票（15項目）力^いられており，そのなかに食習慣や体重変化などの栄養に関 連した質問項目が含まれるなど，フレイルの高齢者を早期に把握するとともに，栄養評価'指導 を含めたきめ細かな対策が講じられるようになってきている.