水素エネルギーの重要性と戦略的イノベーション創造プログラム（SIP）「エネルギーキャリア」－CO_2フリー水素供給チェーンの構築に向けて

摘要

エネルギーとしてCO_2フリー水素の大量の導入が可能になれば、日本が直面しているエネルギー、環境制約を克服できる可能性がある。CO_2フリー水素によるエネルギー社会、「水素社会」の構築に取り組むことには、そういった意義がある。ところでそうしたエネルギーシステムは、CO_2フリー水素が再エネなどの一次エネルギーから電気や熱を経て作られ、利用の際にはそれを再び電気や熱エネルギーに変換して使われるというように多段階のエネルギー変換を要するシステムであることから、エネルギー利用効率が悪く、エネルギーシステムとしての合理性に欠けるのではないかとの疑問が呈されることがある。この疑問は、後述するように、私たちが直面しているエネルギー·環境制約との関係でCO_2フリー水素の重要な効用がCO_2フリーということだけでなく、再エネの数少ない大量導入手段であるということを見落としているために出てきていると思うのだが、その問題を含め、以下にCO_2フリー水素供給チェーン構築の重要性について説明しよう。