痛みの精密医療のこれまでとこれから

摘要

precision medicine (精密医療）は，2015年に 当時の米国ォバマ大統領によつて提案された 概念で，従来型の病名というカテゴリーで患 者を分類し単一の治療方針を提供するのでは なく 患者個人から得られた精密な情報（バ ィォマーカー）を基に，病態?疾患をより詳 細に階層化し，最適な診断と治療法を提供し ようとする考え方のことである。これまで医 学領域ではテーラーメイド（個別化）医療を 目指すために，生体内の様々な情報を網羅的 に扱う学問分野があり，DNAの塩基配列情報 についてのゲノム，DNAまたはヒストンや多飾 情報についてのェピゲノム，RNAの発現情報 と塩基配列情報?転写因子情報についてのト ランスクリプトーム，蛋白質情報についての プロテオムーム，代謝産物情報についてメタ ボロームが知られてきた。痛みの領域においてもprecision medicineの考えに則つた患者の 発症機序や治療法の階層化が提案されている (図）。