臨床研究のCOI(利益相反)に閬する指針

摘要

一般社団法人日本内視鏡外科学会（以下「当学会」という）は，内視鏡外科領域における会員の研究発表，知 識の交換並びに会員相互間及び関連学協会との研究連絡，提携などの学術研究に関する事業を通してその進歩普 及に貢献し，もって学術文化の発展と国民の医療福祉に寄与することを目的としている.当学会の学術集会?刊行物などで発表される研究においては，ヒトを対象とした治療法の標準化のための臨床 研究や，新規の医薬品?医療機器?技術を用いた臨床研究も多く，産学連携による研究?開発が行われる場合が 少なくない.このような産学連携による臨床研寒は臨床医学の進歩のためにきわめて重要な位置を占めていると 言える.その一方で，産学連携による臨床研究には学術的?倫理的責任を果たすことによって得られる成果の社 会への還元（公的利益）だけではなく，産学連携に伴い取得する金銭?地位?利権など（私的利益）が発生する場合がある.これら2つの利益が研究者個人の中に生じ，公的利益が私的利益により損なわれる危険がある状態 をconflict of interest (COI,利益相反）という.このCOI状態が深刻な場合，研究の方法，データの解析，結 果の解釈が歪められるおそれや適切な研究成果であるにもかかわらず，公正な評価がなされないなどの中立性， 公明性を欠く研究成果となる可能性がある.