バイオの真夏の夜の夢

摘要

バイオベンチャーに流行があるなら、私の学生時代が第一次ブームであろう。私がバイオベンチャー企業を起業したのは博士後期課程1年の時。それから20年近くたった今、少々変わった世界を覗いてきた自分の経験をほんの少し紹介したい。「学生による大学発バイオベンチャー!」。学生+大学発+バイオベンチャー=国内初であったことから、一瞬であったが時の人となった。若手〇〇やら女性〇〇がメデイアで好まれるのは今も昔も変わりはない。新聞や雑誌でィンタビューされ、そのたび「…！」が見出しを飾った。学内にベンチャービジネスラボラトリーが設立され、入居者を募っていた。私のアイデァも大学で採用され、部屋と研究費をいただけたのだが、勢い余って（？）その部屋に会社を設立したのだ。その年はスタンフォード大学の学生がグーグルを創業した年でもある......といえば聞こえがいいかもしれないが、つまりはインターネット黎明期のこと。ITが想像できないほど世の中を変えていく、喧騒感のような活気がみなぎつていた。そんな活気はバイオ分野にも届いた。DNAチップという未曾有の技術を持つアフイメトリックス社やインサイトファーマシューテイカルズ社がシリコンバレーに勃興し、バイオのウインテルと呼ばれていた。