ラッソぺプチド: '投げ輪'構造をもつペプチド抗生物質

摘要

リボソーム依存的に合成される翻訳後修飾べプチド (Ribosomaily synthesized and post-translationally modified peptides : Ripps)は、ランチピオテイックや チオペプチドなど多様な化合物を生み出す生合成系で ある。このペプチド生合成は、ペプチド鎖がリボソー ムによって生合成され、さらに翻訳後修飾により、ラ ンチオニンなどの異常アミノ酸やチオゾールなどの多 様な構造が生み出される。本稿で紹介するラツソぺプ チドもRippsのサブクラスの1つである。ラツソぺプ チドは約16-25アミノ酸残基からなるぺプチドであり、 N末端のアミノ酸はGlyまたはCysであることが多く、 N末端から7-9残基目にアスパラギン酸またはグル夕 ミン酸を有する。N末端のアミノ酸のアミノ基とアス パラギン酸またはグルタミン酸の側鎖カルボキシル基が イソペプチド結合を形成し、マクロラクタム環を形成 する。そのマクロラクタム環をC末端の直鎖部分が貫 通している（図1)。この分子構造が“投げ輪=ラッソ” に似ているために、ラツソペプチドと呼ばれる.この “ラッソ”構造のために、プロテアーゼなどの分解を受 けにくいという特徴を持つ。ラッソぺプチドには広範 两の興味深い生物活性が知られており、抗菌、酵素阻害および受容体拮抗作用を有する。このようなことか ら代謝されにくいべプチド性生理活性物質として医薬 品への応用が期待されている。筆者らは、多数の新規 ラッソぺプチドを単離?構造決定しており、本稿にお いて紹介したい.。