肝および造血幹細胞移植症例におけるサイトメガロウィルスモニタリングにおけるPCR法の有用性

摘要

サイトメガロウィルス（CMV)は，ヘルぺス ウィルス科 betaヘルぺスウィルス亜科に属し.直 径約180 nm, 235 kbpからなる2本鎖DNAゥ ィルスである。ヒトヘルぺスウィルス5 (HHV-5)とも呼ばれている。CMVは通常幼少時に 母乳，尿や唾液により水平感染し.ほとんどが 不顕性感染の形で終生体内にとどまる。日本 人のCMV抗体保有率は近年低下傾向にあるも のの本邦の「造血細胞移植ガイドライン（第4 版）」には，80~90%と記載されている。一 方で，血液やその他の検体から体内にCMVが 同定される状態を意味するCMV感染と，CMV 感染症は明確に分けられており.CMV感染症とは，全身症状には発熱，倦怠感，関節痛，筋 肉痛.白血球減少があり.局所症状には乾性咳嗽?呼吸困難（CMV肺炎），悪心?嘔吐?腹 痛?下痢?下血（CMV胃腸炎.脖炎).視力低 下（CMV網膜炎)，皮膚潰瘍などがみられる状 態のことを示す。 CMV感染症は，免疫抑制 剤が使用される臓器移植および造血幹細胞移植 後の感染症として最も頻度が高い。そのため. 移植後のCMVのモニタリングは非常に重要で ある。