シリーズ：地場産業とバイオ―霧が拓く清酒製造業の活性化とバイオプロセスへの応用

摘要

我が国の醸造業は江戸期を通じて発展し明治時代には現在の原型がつくられている。 とくに清酒醸造は江戸幕府の徴税システムに組み込まれ、明治政府もこれを重視し、日清戦争の戦費の7割が酒税で賄われたという。 ロシアの南下政策とともに危機を感じた、時の政府によって酒税の大増税が行われ、ほぼ100年前の日露戦争を戦い抜く原動力ともなった。ところが太平洋戦争の終戦後、高度成長を経て、モノのグローバル化の波に飲み込まれ、国内では清酒製造業のみならず醤油製造なども現在は長期低落傾向にある。 このような過程で醸造業が我が国のバイオ産業のプラットフォームになったのは事実であろうが、清酒製造量はここに来てピーク時の3分の1となった。 このような成熟型ないしは衰退期に入った産業においては、シュンペーター型のイノベーションが求められている。