猫のホジキン様リンパ腫(Feline Hodskin' like lymphoma)

摘要

猫のホジキン様リンパ腫は，人のホジキンリンパ腫(Hodgkin Lymphoma ： HL)に類似した病態であると考え られている。人では，頸部リンパ節や縦隔に病変を来たす場合 がそれぞれ半数以上と多く，診断時に節外病変を呈する場台 は10%と少ない。病理組織学的に特徴的な大型多核で明瞭な 核小体を有するReed Sternberg細胞（RS細胞）や単核の Hodgkin細胞などを認めるのが古典的HLの定義である。それ らの大型細胞がホジキンリンパ腫の腫瘍細胞(B細胞由来）で あり，その周囲にはびまん性の炎症性リンハ。球(CD4+T細胞 中心)浸潤を伴う。RS細胞の出現は疾患特異的ではないが, 重要な所見である。昔はホジキン病という診断名が使用され ていたが，2001年のWHO分類が発表されてからは，リンパ系 増殖疾患であることをあきらかにするためホジキンリンパ腫 (HL)と呼ばれるようになった。古典的HLは，さらに病理組織 型により結節硬化型，リンパ球豊富型，リンパ球減少型，混合 細胞型と4つの亜型に分類される。しかし，病型と予後の相関 はあきらかにはされていない。ホジキンリンパ腫自体の進行 は緩徐であり，単一のリンパ節もしくはその隣接したリンパ 節のみに病変を形成し，末期にのみ骨髄などへ浸潤する。限局 期のHLの標準的治療(人)は放射線併用化学療法である。放射 線治療単独では，治療抵抗性となるか再発を呈してしまうた め，ABVD療法(A=ドキソルビシン，B=ブレオマイシン， V=ビンプラスチン，D =ダカルバジン）などの化学療法を併 用されるようになっている。放射線治療を実施せずに化学療 法単独での治療を積極的に支持する研究はされていない。進 行期にもABVDやMOPP(M=>クロレタミン，0=ピンク リスチン，P=プロカルバジン。P=プレドニゾロン）療法な どの多剤併用化学療法が標準治療となる。