電子のスピンでコンピューター革命電子がちつ磁石の性質を利用する「スピントロニクス」

摘要

現在，コンピューターの性能向上に限界が見えつつあり，それに加えて，膨大な電力消費という 無視できない問題も深刻化しつつある。このような状況を打開できる可能性を秘めているのが，「ス ピントロニクス」とよばれる技術である。電子は「スピン」とよばれる自転運動のような性質を もっており，これによって生みだされる磁力を情報処理に利用しようというのだ。スピントロニ クスを利用した情報処理用の集積回路は製品化目前のところまでこぎつけており，その開発に大きく貢献した1人が，東北大学電気通信研究所の大野英男教授である。ノーベル賞の受賞も期待 されている大野教授に，スピントロニクスとは何なのか語ってもらった。