眼窩

摘要

眼窩外傷は視力の低下のみならず，複視，眼球陥凹，眼球突出を生じる.とくに，眼窩骨折では眼心臓反射により 生命が脅かされるような状態に遭遇する可能性があり，緊急処置?手術が必要になる.外傷性視神経症では急激な視 力低下をきたし，ステロイド療法が奏効しない場合には，視神経管開放術を考慮する必要がある.一方，さまざまな 異物が眼窩内に刺入?迷入することで眼窩内組織が損傷し，複視の発症のみならず，異物反応や感染による眼窩蜂窩 織炎に進展するケースもある.眼窩の手術には眼科医以外にも形成外科医，耳鼻科医，脳神経外科医，口腔外科医が 携わっている.アプローチ方法は各科で異なるであろうが，主症状の改善を試みたセーフティーな手術が好ましい. しかし，視機能を考慮した手術ができるのは眼科医のみであろう.そして，眼科医は細隙灯顕微鏡検査，眼底検査を 行い，トータルな眼外傷診療を行う責務がある.