ライトレールのトータルデザイン戦略: 地域ステータスの構築

摘要

GKデザイングループは，戦後間もない1952 年にGKインダストリアルデザィン研究所として 創立されたデザイン事務所である。創業当初から 工業デザインの対象としてオートバイや自転車， スノーモービルといったパーソナルな乗りものを デザィンしていた。最初に手がけたパブリック（公 的）な乗りものは1970年の大阪万国博覧会の会 場内を走るモノレールであった（図1)。会場で は車両にとどまらず，観客の誘導のためのサイン 計画,ゴミ箱やベンチ，トイレや照明など,人々 の移動のための公共環境を総合的にデザインした (図2)。その後，都心部の地下鉄車両や，地方都 市の新交通システム（AGT), 1986年の国鉄民営 化にともないJRの鉄道車両（図3)や役務機器， 首都圏のサイン計画などを手がける（図4)。近 年は民鉄に加えLRT (Light Rail Transit)による 地方都市の活性化に，総合的なデザインの立場か ら取り組んでいる。