泌尿器?生殖器がん2)去勢感受性前立腺がんに対する治療戦略:タキサン,新規AR阻害薬の選択

摘要

本邦におけるホルモン感受性転移性前立腺がん(metastatic hormone sensitive prostate cancer ；mHSPC)に対しての全身治療導入はアンドロゲン除去療法(androgen deprivation therapy ； ADT)単独もしくは非ステロイド性抗アンドロゲン剤(bicalutamideなど)を併用したcombined androgen blockade (CAB)療法が主流であった.前立腺癌診療ガイドライン2016年度版においては,mHSPCに対する治療としてCABは推奨グレードBで表記され,日本におけるmHSPCの標準導入療法として広く行われてきた.しかし,2015年以降に行われた複数のrandomized controlled trial(RCT)の結果，去勢抵抗性前立腺がん(castration resistant prostate cancer ； CRPC)で使用されていた治療薬をup frontにADTに併用することで予後延長効果が示され，mHSPC治療は大きな転換点を迎えている.本稿ではそれぞれの臨床試験の紹介と今後の展望について述べたい.