ASCO 2021 meeting report 1）総論，その他のがん

摘要

2021年の米国臨床腫瘍学会はコロナ禍のため,2020年と同様にweb開催(virtual meeting) となった.現場で直に話を聞き,研究者同士で discussionできなかったのは残念であるが，素晴らしい発表が種々の領域で行われた. 先ず全体で感じたのは,肺がん,消化器がん, 乳がんなどのmajor cancer以外での薬物開発が進んでおり,それを反映してplenaryでも頭頸部がん，泌尿器がん，婦人科がんの発表があり，さらに希少がんでの報告も多くなっていることである. 薬剤については,種々のがん種で免疫チェックポイント阻害薬の術後補助療法での有効性が確認されつつある.以前より悪性黒色腫での有効性は報告されていたが，今回, plenaryでの腎細胞がん(KEYNOTE-564, #LBA1)に加えて,肺がん(IMPower 010, #8500),食道がん (CheckMate 577, #4003)等における有効性(dis-ease free survivalの延長)が報告された.当然期待されていたことであり，免疫チェックポイント阻害薬がoverall survival (OS)延長だけでなく治癒率も改善させることが証明されつつあるが，今後,永続的な有害事象(甲状腺?副腎機能障害など)に対する対応,外来化学療法室の混雑,さらに医療費の高騰が問題になるだろうと思われる.