濾胞性リンパ腫

摘要

濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma ； FL)は，年単位に進行するいわゆるindolentリンパ腫の代表的な病型であり,B細胞性リンパ腫全体の約2割を占め,欧米と同様に本邦でも2000年以降の疫学調査では増加傾向にある.抗CD20モノクローナル抗体rituximabが臨床導入されて以降，FL患者の生存期間は延長しているが,再発を繰り返しいまだに治癒は困難と考えられている.私見ではあるが,検診の上部消化管内視鏡検査で十二指腸病変を指摘される例や他がん腫などの経過観察中に腸間膜?傍大動脈?腸骨領域などの腹腔内リンパ節腫脹を指摘される例など,従来よりも診断される機会が増えているように感じる.また，びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の晩期再発例の一部では?再発時にFLと診断される場合もあり,日常診療でFLを診る機会が従来よりもやや増えてきたと実感する.リツキシマブが登場して以降，FL患者の生存期間は明らかに延長し，最近の報告では10年生存割合が80%,リンパ腫に起因する死亡は10年で10%と宰艮告されている.いまだに治癒が期待できない難治性疾患ではあるが，一部の早期再発群など予後不良群を除くと,大半は抗CD20モノクローナル抗体と化学療法(ベンダムスチンやCHOPをベースとした治療)の併用療法により5?10年間と長期に再発せずに日常生活を過ごせる時代となった.