血液疾患領域のゲノム医療の現状と問題点

摘要

ゲノム医療が一般に知られるようになつたのは，2015年の一般教書演説において当時のォバ マ大統領がprecision medicine initiativeのち 上げを提唱したことが大きく影響しているこ れは疾患に対して画一的な医療を提供すること を目的とした従来型の医療から，ゲノムなど個 人の医療情報を活用した個別化治療への転換を 図ることで医療全体の水準向上をはかるものであ る.その目標を達成するための手段の一つが臨 床シークェンスの普及である.わが国では2019 年に国立がん研究センターのOncoGuide NCC オンコパネルと米国Foundation Medicine社の FoundationOne CDxの2つの遺伝子パネルが保 険承認を得て，臨床導入されているが，造血器の 分野で保険収載されたパネル検査はまだない.