二次元層状物質の成長とその場評価

摘要

今月の本誌は，「二次元層状物質の成長とその場観察」を特集している。二次元層状物質とは，原子間の結合が層内で閉じていて，層間は弱いファンデルワールスカのみで結合した結晶構造を持つ一連の物質を指す。結晶構造を反映して，層に沿った方向と，垂直方向では電気伝導度が3桁近くも異なる物質もあり，大きな異方性を持つ特性を示す。天然鉱物として入手できるグラファイトや雲母は，古くから知られている代表的な層状物質であるが，層間が弱いファンデルワールスカのみで結合しているため，層に沿って容易に劈（へき）開できる特長を有する。これを生かし，グラファイトにセロテープを貼って引き剥がす事により，グラフェン（1原子層のグラファイト）試料を作ることができる。