モダン4気筒ベルリーナ進化の歴史

摘要

155はとびきり魅力的なクルマだ。 だからこそ自分で購入して乗っていたのだが、現実問題として155をカツコいいとか美しいと感じる価値感の持ち主はごく少数派だろう。 それに対し156は誰の目から見ても美しいと思える黄金律を備え、なおかつ大幅に向上した内外装の質感が美しさに華を添える。 その結果何が起こったか？ 日本での156の販売台数は155の実に5倍にまで膨れあがったのだ。 これは156がかつてのアルファとは違い「アルファだから」ではなく「気に入ったから」という動機で選ばれるようになったからに他ならない。 同時に156 はヨーロツパでもアルファ史に名を残す大ヒットモデルへと成長した。 そう、アルフィスタという小さなグループを相手にしていた155に対し、156はすべてのクルマ好きの目に触れる大舞台に活躍の場を移すことに成功したのだ。そうはいっても、クルマの魅力は必ずしも販売台数と等式で結ばれるものではない。 プチ大衆化したアルファ·ロメオは、果たして何を得、何を失ったのか。 97年式155ツインスパーク16V、99年式156ツインスパーク·セレスピード、02年式156 JTSセレスピードの3台をテキストに、アルファ·ロメオの本質と魅力を解き明かしていくことにしよう。