抜け毛につながる後天性の疾患

摘要

脱毛の病態は，毛の異常，毛包の異常，および毛周 期の異常であるが，いわゆる抜け毛に相当する後天性 脱毛症の病態は毛周期の異常によるものである。毛周期異常による脱毛症の原因の一つは内分泌疾患 であり，クッシング症候群，甲状腺機能低下症.およ び性ホルモン失調が含まれる。皮膚症状として頸部腹 側や大腿部尾側より認める脱毛であり，徐々に体幹へ 拡大する。初期の症状では被毛の色調変化や薄毛が観 察されることもある。内分泌疾患は通常，抜け毛以外 の身体的異常を伴うことが多く，これらの疾患は一般 的に中齢以降の犬に発症を認める。