犬の脱毛性皮膚疾患におけるコミュニケ一シヨンのポイント

摘要

小動物の皮膚科診療において，痒みに次いでよくみら れる臨床徴候は「脱毛」である。脱毛とは被毛がなレゝ. あるいは少ない状態であり，病態として二つのパターン が存在する。一つは外的刺激による被毛の損傷であり， 病変部の被毛は"裂毛"を呈する。病変部位に一致した外的刺激あるいは痒みを思わせる搔破、舐性行動を伴う 場合，あるいは毛包や被毛の異常により脆弱になった被毛が軽度の摩擦で容易に損傷することが考えられる。も う一つが，毛包の異常により被毛が毛根部から抜け落ち る"脱毛"である。さらに，脱毛の場合はその原因が局 所性であるか，全身性疾患に起因する毛周期異常である かによつて皮疹分布が異なり，後者では皮膚のみならず 全身性疾患を考慮した評価が必要である。