犬アトピー性皮膚炎治療に繋がる正しい診断編-

摘要

本連載では，これまで皮膚細菌感染症，細菌性外耳 炎，マラセチア性皮膚炎，マラセチア性外耳炎につい て，筆者の治療法を紹介してきた。本稿からは，いよいよ犬アトピー性皮膚炎(Canine Atopic Dermatitis ： CAD)について紹介していく。これら皮膚細菌感染症，マラセチア性疾患，外耳炎 およびアレルギー性皮膚炎（CADを含む）は，一次 診療の現場で遭遇する皮膚疾患の大部分を占めてお り，筆者はこれらを"皮膚科のコア疾患"と考えてい る。これらの疾患をある程度マス夕一しておけば，そ れ以外の皮膚疾患のことを知らなくとも，来院する皮 膚症例の80%程度はうまくコントロールできるかも しれない。また，コア疾患の症状、経過に合わない症 例では，他の皮膚疾患群であることに気付くこともで きる。つまり，コア疾患の理解を深めることは，同時 に他の皮膚疾患群の診断にも結びついていく。そのこ とを意識しながら.本連載を読んでいただけると幸い である。