DKNリサーチのプリント配線板データシート

摘要

2014年10月における日本のプリント配線板業界全体の出荷額は451億77百万円で前月比2.6%の増加となっている。例年であれば10月は年末商戦に向けて生産体制が上がる時期なので、この数値は物足りない。いっぽう、出荷数量は120.6万m~2で3.9%の増加になっており、販売単価は若干下落していることになる。前年同期比でみると、出荷数量が1.0%の減少だったのに対して出荷額は2.5%の増加で、販売単価は上昇していることになる。年初からの累計では、出荷数量が前年同期比で3.0%の増加になっているのに対して出荷額は2.9%の減少で、両者のギャップわずかながら縮小してきており、値下げ競争によるマージンの減少には歯止めがかかってきているようだ。品種による違いは小さくない。リジッド配線板はほとんどの品種で9月に引き続いて増加か横ばいとなっており、高いレベルを回復している。特にビルドアップ配線板を含めた多層配線板の反発が目立っている。ビルドアップ配線板は、この2年間でのピーク値に近づいている。リジッド配線板全体では前年同月比で微増の領域に入ってきているが、年初からの累計では、数量が5.2%の増加であるのに対して金額では3.9%の減少となっており、両者のギャップは小さくなく、販売単価の下落が影を落としている。フレキシブル配線板は前月に続く増加であるが、増加率は鈍ってきている。両面?多層回路が4ヶ月連続で増加しているのに対して、片面回路は7月をピークとして3ヶ月連続での減少となっており対照的である。これは最近の日本の大手フレキシブル配線板メーカーは海外メーカーの携帯機器端末への依存度が高く、年末商戦用の新モデル、2015年モデルの立ち上がりの影響が反映されているようだ。8月のピークから減少に転じたリジッド系モジュール基板は、10月になっても微減に留まっており、高いレベルを維持している。年初から世界的に増加傾向にあった半導体は、秋口に入って成長率が鈍化しており、今後、モジュール基板の需要は不透明である。このように秋口から若干の回復傾向が見られる日本のプリント配線板産業だが、全体としては長期縮小傾向に大きな変りはなく、2014年通期では前年比2～3%の減少に留まるものと考えられる。