全体構造について再考する（1）

摘要

かつて，とある県庁の近所を歩いていた時，完成したばかりの美しいPCホロースラブ橋を見つけた．「河川橋なのに，よくも場所打ちコンクリート橋を架けたものだ」などと思いつつ，河川敷まで降りて観察したが，やはり“習慣による弊害”が見つかった．橋脚の梁が上部工の地覆の外端の位置まで伸びていた．PCの単純T桁が全盛のころには，エレクションガーダー用の支柱を載せるために，ハンマヘッド（T）形の橋脚の梁幅が広く造られていた．場所打ちコンクリートであればその必要がないのだが，T桁の習慣に従ったのだろう．最近，橋脚の横梁の先が不必要に伸びているばかりに雨に当たりやすく，先端部だけにアルカリ骨材反応が起きていた事例に出会った（このケースは鋼橋）．外観も悪くなるので，余計なものはない方がよい．