3径間連続アーチ橋（天間川橋梁）の設計と施工

摘要

七戸川は青森県東部を流れる高瀬川水系の一級河川であり，これまで昭和48年，平成2年および平成10年の集中豪雨による洪水により，周辺地域に多大な被害をもたらしてきた．特に，昭和48年の水害では鉄道にも大きな被害が発生し，周辺地域および公共輸送の安全性を確保するためにも早急な河川改修工事の実施が求められていた．天間川橋梁はJR東北本線上北町・乙供間で七戸川を横断する橋梁であり，このたび青森県が実施する河川改修工事に伴い改築されることになった．新橋の構造形式選定にあたっては，アプローチ部を含めたコストを低減するためにレールレベルの扛上量を最小とすること，車窓からの眺望を確保し，景観への圧迫感を与えないことなどに配慮し，国内で初めての3径間連続アーチ橋を採用した．本構造形式は，アーチ部材を橋台，橋脚に剛結して支持させ，また主桁はアーチ部材から吊り材により支持する連続桁構造である．従来のランガー橋では単純桁が基本であり，主桁をタイ材としているのに対し，本形式ではアウトケーブルをタイ材としているため桁重量の軽減および基礎を含めた全体工事費の低減が図れた．平成16年4月に下部工に着手し，平成18年4月に本体工事を無事終了した．軌道工事後，平成18年10月に下り線，平成19年6月に上り線の切替えを行う予定である．今後，雄大な北国の自然を背景に，本橋がこの地区のランドマークとなることを期待している．