テレパソロジーからデジタルパソロジーへの トランスフォーメーション

摘要

テレパソロジーとは病理標本の画像を伝送し, 遠隔地から病理診断を実現することである.テ レパソロジーで始まった顕微鏡画像のデジタル化 は ,virtual slide (VS), digital slide （DS)あるいは whole slide imaging(WSI)と呼ばれるデジタル画 像システムへと発展し，病理診断領域におけるデ ジタル化の原点となった.最近ではWSIなどデ ジタル病理画像を利用した病理診断にかかわる 諸活動を包括的にデジタルパソロジー(DP)と呼 ぶことが定着している.本稿では,テレパソロジーからDPにつながる 諸活動を振り返り,今後を展望する.テレパソロジー1.テレパソロジーの背景日本の医師の総数は2020年末に339千人余 りであるが,病理専門医は2021年11月15日 現在2,670人で,医師総数の0.8%にも満たな い.また,2021年12月現在常勤病理医の勤務す る病院は日本病理学会認定病院が417施設,同 登録施設が445施設で合計862施設である.