「PC橋の耐久性向上への取組み:長部高架橋」を読んで

摘要

東北地方のPC橋梁の建設に携わっていた経験があり，大変興味深く拝読させていただいた．本稿では4つの新技術が紹介されており，高耐久化への取組みとして，とても参考になった． 美(うつく)シール工法は通常の張出し施工では実施されていない下床版やウェブ外側の長期養生が可能となるため，コンクリート緻密化に有効な技術であった．ただし，この工法は必ず移動作業車を後退させなければならないため，設計段階でこのステップを考慮する必要があること，最終BLになるほど養生期間が短くなることに注意が必要であると感じた．クール&ヒート工法やコンクリート運搬·打設システムはコンクリートのひび割れ防止と材料分離防止に有効な技術であると感じたが，どちらも通常の施工方法よりも多くの管理項目や施工時間が必要となるため，現場での施工性が課題になると感じた．特にクール&ヒート工法の適用では現場と設計が密接に連携をとる必要があり，管理方法を事前に確認しておくことが重要であると思った．