見えないものを見る-風よ，苗木の機と，支柱と-

摘要

『お前さん，こんなことも知らなかったのか。にわか百姓とはいっても一応は農家育ち，農学部まで卒業し，聴診器片手であっても，自然農30年。呆れたね』。とおつしゃる方がおられたとしても何の不思議もない。何が起きたのか。恥を忍んで書くことにした。結果から示せば，事は簡単，といえば，いたって簡単，苗木を植えるときの"支柱"。なぜ苗木に添えるのか， そのわけを知らなかった。ただそれだけ。だが，それだけではすまされぬ大きな，生死にかかわる禍が，私の植えた苗木達には降りかかり続けたのだ。何と30年間の月日，私の農具小屋には，苗を植えたあと，不要と化した黒い塩化ビニール製のポットが，たくさん放置されている。