ハイブリッド技術総論：電動パワートレインによる,道路交通におけるCO{sub}2削減の可能性と課題

摘要

電気自動車の高効率の可能性は自明に近く，以下の点に集約される。 すなわちICEVが本質的に高効率化の困難な小型熱機関であるのに対して（その割には驚異的な高効率を実現しているが），永久磁石界磁による低損失の電磁変換でトルクを得ていること，これがまた動力の回生を可能として自動車の走行で不可避の頻繁な加減速の中で減速時のエネルギー回生を可能とすること，さらに最近でこそアイドリングを停止するICEVが増えてきたがモータでは本質的に停止時の損失がないことなどが挙げられる。効率の上では電力をどう得るかが問題であるが，これも大型の化石燃料火力発電ではかなりの高効率が実現されていること，さらに化石燃料以外の発電システム，とりわけ原子力，再生可能資源など実質的にはほとんどCO{sub}2排出のない電力も得られるなど，脱石油，CO{sub}2削減の可能性もあって上記目的に対して多くの利点を持っていることが指摘されている。 さらにエネルギー問題とは関係ないがICEとのエネルギー変換原理の差により，モータには，大きな起動トルク，静粛で脈流のない速度変化可能という特徴がある。これは走行場所（道路上）でのクリーンな走行（排ガス零），静粛性，スムースで強力な起動特性など，ICEVに慣れたユーザには感銘を与えるものである。