わかめ養殖作業船の復原性能に関する基礎検討

摘要

一方、わかめ等の採介藻業漁船は、作業船に共通したことであるが、幅広で乾舷が小さい（満載時で10～20cm）ため、初期復原力が十分あるが大傾斜時の復原力が問題となることが多い。 特にオープン·デッキ·ボートはブルーワーク·トップが水没すると復原性が急激に悪くなり、また、舷側排水孔に逆流防止装置が無いため、刈り取り作業時に排水孔が長時間水没すると流入した海水が船内に滞留し、復原性を著しく悪化させる。 また、乾舷が小さいため、船の積載能力を超えて荷を積むと復原力が低下し危険であることは言うまでも無い。 わかめ養殖作業船の安全性は船体静復原性のはか、刈り取り時（引き上げたわかめロープによる定常傾斜あり）および往復航行中の横揺れの問題も重要と思われるが、ここでは、船体静復原力のみ取り上げ、様々な載荷状態について検討することとする。 なお、本研究は水産庁のわかめ養殖業構造調整支援技術等緊急開発調査委託事業の一環として、作業船の復原性の解明ならびに操業ガイダンスにっながる知見を取得することを目的として実施するものである。