焼津鰹節加工業の新展開

摘要

本稿では、所期の課題に接近するため、焼津鰹節加工業界がこうした事態に如何に対応してきたかを実証的に検証することとした。 その1は、焼津鰹節水産加工業協同組合の組織的対応である。施設利用の協同化と生産技術の共同開発への取組み等がこれである。 その2は、「水産物産地流通加工センター形成事業」等の助成政策を活用した水産加工団地形成事業の推進である。 事業運営の主体となった協同組合焼津水産加工センターの内発的展開の基本理念·方針、設備拡充の経緯等を追跡した。 その3は、焼津水産加工センターの事業運営についてである。組合員企業への組織的な育成·支援事業の実施（ィンキュベーター＜孵卵器＞としての役割）とセンター自身の協同組合（法人）としての経営的自立化過程である。 その4は、焼津水産加工団地をインキュベーターとして離陸と成長をみた鰹節関連の調味料メーカーの動向についてである。これらの企業は静岡県食品製造業のなかでも上位の地位を占めるに至っている。 以上の検証によって、焼津鰹節加工業の地域産業という枠組を越えた新展開の態様を明らしえたのではないかとおもう。