吉田匠的ヒストリックカー考Vol.50 プロヴァンスでふたりの凄腕ドライバーに会った日。

摘要

1995年春、パリから1時間弱のフライトで南仏マルセイユ着、そこからニースの方向に迎えのバンでオートルートA7を走ることおよそ80km。プロヴァンス地方のとあるインターを出て10分ほど走ったところに、ポルシェ993ターボ国際試乗会のベースとなるホテルはあった。993ターボは、それ以前の911ターボと大きく異なるところがふたつあった。ひとつはエンジンの過給に初めてツインターボを採用したこと、もうひとつは4WDを採用したことだった。911ターボが4WDなのは今では常識だが、それは最後の空冷モデル、993から始まったものだった。リアに収められた空冷3.6lフラットシックス·ツインターボは当時としては驚異的な408psを発生、これもターボ初の6段MTを介して最高速290km／hに達する、当時最速の公道用ポルシェだった。