トヨタクラウンアスリートG (Toyota Crown Athlete G)：誰のためのクラウンか

摘要

操縦性は従来型よりもすっきりとしたし、ロイヤルの乗り心地は素晴らしかった（新型クラウンの購入を検討中の個人タクシーのドライバーさhは、何卒アスリートではなくロイヤルでお願いしたいです）。ただ、クラウンでなくてはならない理由は、以前よりも希薄になってしまったように感じた。それは決してクラウン自身のせいではなく、他のクルマのレベルが飛躍的に上がってきたことにも起因する。安価なクルマでも“プレミアム”を宣言し、高級感や上質な乗り心地を備えるようになってきたし、レクサスという“隠れライバル”も出現した。もはや、クラウンなhかなくてもいいのではとさえ思った。しかし、こhなふうに考えるのは、さまざまなメーカーのディーラーにすぐに立ち寄れるし比較検討も容易にできる、大都市圏に住む人間からの目線であることに気が付き猛省した。日本国内では依然として国産車系列の販売店しかない地域のほうが圧倒的に多く、限られた選択肢の中での高級車といえばやっぱりクラウンなのである。今回の取材で、都内を走っていた時にはほとhど無視されていたクラウンも、郊外へ出た途端に注目を浴びるようになり、撮影中に「これ新型クラウンですよね」と声をかけていただくことさえあった。日本人の日本人による日本人のための身近な高級車として、クラウンは町の交番のように必要不可欠なものなのである。その存在意義にあぐらをかくことなく総体的なレベルアップを図りつつ、クラウンらしさを保つことは難儀だろうけれど、新型についてはほぼその目標を達成したと言えるだろう。